本間美紀さん × 門倉多仁亜さん トークショー
「ビルトイン家電のある理想のキッチン」

本間美紀 × 門倉多仁亜 トークショー「ビルトイン家電のある理想のキッチン」

2016/2/3 伊勢丹新宿店にてキッチンジャーナリスト 本間美紀さんと料理研究家である門倉多仁亜さんによりトークショーが実施されました。
伊勢丹新宿店でビルトイン家電をとりあげたイベントを開催するのは今回が初めて。ビルトイン家電にますます注目が集まっています。トークショーのテーマは『ビルトイン家電のある理想のキッチン』。
日本のご家庭でのキッチンとキッチンインテリアの実例を交えながら、生活の質をワンランクアップするキッチンづくりとビルトイン家電が果たす役割について様々な角度からトークが展開されました。


本間さん: 私の取材活動を通じて感じている事なんですが、今キッチンに興味を持たれている方がすごく多い。日本の家庭の皆さんが、どういう風にインテリアにビルトイン家電を組み込んでいるのか、取材の中から写真をお見せしながら、また、ビルトイン家電の発祥はドイツとなっていますが、タニアさんにはいろいろな経験を通してご存知のことをお聞きしていこうと思います。

伊勢丹新宿店5階 センターパーク内の会場

写真:伊勢丹新宿店5階 センターパーク内の会場

ビルトイン家電とは

本間さん: 先ほども質問がありましたけれども、ビルトイン家電がどういったものかあまり皆さんわからないですよね。キャビネットの中に置いてあるコーヒーマシン、これはいわゆる置き型家電。コンセントを抜き差しして使いますね。これに対して、キャビネットの中に工事をして組み込むのがビルトイン家電です。タニアさん、ドイツでは、ビルトイン家電はごく一般的なものでしょうか?

ドイツ発祥のシステムキッチン、ビルトイン家電 --- きれい好きなドイツ人だからこそ?!

タニアさん: もうこの20年、私が子供の時からは新しくキッチンを作るとしたら、ビルトインが当たり前ですね。フランクフルトキッチンが世界で初めてのビルトインキッチンと言われているものですが、戦後、破壊されたフランクフルトに団地を造ろうとしたときに、ヨーロッパでも少なかった女性建築家がどうやったらより効率よく女性たちが作業できるかキッチンの中での動線を考えて設計されたのがフランクフルトキッチンです。

本間さん: そうですね、煮炊きして、食器を食器棚に入れて、そういう家事全般にかかわるものを家具の中にまとめちゃえっていうのが、ビルトインキッチン、つまり、システムキッチン

タニアさん: 統一性ですね、ドイツ人の。

本間さん: 家具の中に料理の機能をまとめちゃうという考え方ですね。

トークセミナーの様子

写真:トークセミナーの様子

ビルトイン家電が組み込まれたキッチンはスッキリ片付き、掃除もしやすい

タニアさん: ビルトインだと、掃除がしやすいです。ドイツ人は綺麗にしているのが好き。キッチンは清潔にするのが一番の場所なので、あまり凸凹がなくすっきりしているほうが掃除が簡単にできますね。

本間さん: その点置き型家電だと、奥に手を入れて掃除しないといけない。

タニアさん: そうですよね、いろんなものが周りや隙間に落ちてしまったり。

本間さん: あとはスペースの問題ですね。キッチンカウンターにたくさんいろんな家電を置くのではなくて。

タニアさん: 日本では後で考えて「あ、こんなの欲しいな」ってのせていくんですけど、ドイツでは前もって何が必要かを考えて全部組み込んでいくスタイルのような気がします。

本間さん: キッチンを考える前に、まず初めに自分に何が必要か、どんな動線が必要かをある程度クリアにしておく、ということですね。

日本の家庭でのキッチン実例紹介

オーナーさんが料理好きで、大きな家ではないけれどキッチンにボリュームをかけたいとオープンキッチンにしているケースです。オープンだからこそ効率よく片づけられることが大切。裏側に大きい食器洗い機を設置して、すぐにどんどん入れていけるようにしています。食器洗い機の前面パネルの素材をキッチン素材に合わせているのですっきりとして、家電というのがわからないようになっている。

本間さん: 「ビルトイン家電の面白いところは、キッチンのパネルを白、操作部分だけ残して白にして揃えて、まるで家電が置いてないよ!って。家具の感覚と家電の感覚がものすごく調和するところですね。」

水槽のあるキッチン

奥に水槽が見えるんですが、キッチンに水槽を組み込んでいるキッチンです。息子さんの趣味が熱帯魚で、キッチン屋さんに頼んでキッチンと一緒に水槽も工事してもらっているケース。

タニアさん: 「すごく清潔感のあるキッチンですね」

水槽のあるキッチン

写真:ミーレ・ジャパン

ドイツ製ビルトイン食器洗い機の利点

オープンなキッチンで、狭くてダイニングが近くても、大きな食器洗い機があれば、テーブルからそのまま食後の汚れ物を入れていけば片づいていきます。日本では食器洗い機に入れる前に下洗いが必要と思われているようですが、ドイツの食器洗い機はパワフル、ちょっとしたこびりつきも取れてしまいます。また、食器洗い機なら60度とか70度とか、人の手では火傷してしまうような高温での洗浄が可能です。

タニアさん: 「換気扇の網とかそんなものもどんどん入れちゃいます。高温で洗ってしまったほうが、アブラがついているものなんかはちょうどいいです。でもそうすると、卵はどうなの?って思われると思うんですが、最初は低温で、ちょっとずつ温度を上げて洗っていくので、最初は低温で落とせる汚れ、中温で落とせる汚れと、落としながら温度をどんどん上げていって、最後に殺菌。開けると熱いんですよね。」

本間さん: 「お風呂上がりのようなさっぱり感がたまらないですよね。」

「黒」でキッチンをコーディネート

次も東京都内のケースですが、キッチンを「黒」で作って、ダイニングテーブルはじめ全体を黒で統一しています。ステンレスのシャープな雰囲気でガスコンロと食器洗い機をコーディネート。水栓金具をシンプルなデンマークのブランドにし、一部の水栓金具は黒色を選んでいる。家電とか設備をインテリアを選ぶように楽しんでいるところが素敵です。

「黒」でキッチンをコーディネート

写真:ミーレ・ジャパン

キッチンとソファを一緒に考えてコーディネート – キッチンがリビングの一部で暮らしの中心に

次もやはり都内の狭いマンションでL字型キッチンの向こうにリビングあるケース。キッチンとソファを一緒に考えてコーディネートされたようです。手前に把手だけが見えていますが、実は食器洗い機が組み込まれている。操作パネルが見えない完全に隠すタイプで、すっきり見せる。これもドイツらしいところですね。また、食器洗い機が大きいので、シンクがちょっと小さめでも大丈夫。床の青いタイルはご自分でデザインしてキッチン屋さんに焼いてもらったもの。ちょっと珍しいこだわりですよね。それに合わせてソファーや家具の配置も選んで。本当にキッチンを中心にインテリアを楽しんでいる。

本間さん: 「最近雑誌の企画で、キッチンの面材とソファの張地を合わせて選ぶ選び方というのをやったのですが、少し前では考えられなかったと思います。それだけキッチンとリビングの距離が近くなったんだなと思います。」

キッチンより狭い洗面こそビルトイン家電で美しく、機能的に。

ビルトイン家電の面白いところは、洗濯機周りも好みに合わせて統一できるところです。 先ほどのキッチンの奥のほう、収納の先にキッチンから繋がって洗面台になっているですが、洗濯機と乾燥機がビルトインされている。洗面の奥はバスになっていて、プライベートの部分は隠れるようになっている。キッチンで料理をしながら裏のほうで洗濯もできるようになっている。

本間さん: 「日本の洗濯機をドーンと置いてしまうと「家事でーす」って生活感が丸出しになってしまいますが、生活のリアル、つまり機能性をちゃんと満たしながらも、デザイン的にも良くて気持ちよく過ごせる空間づくりを可能にするところが、ドイツのビルトイン家電の良いところだと思います。」

ミーレビルトイン電気オーブンの利点とは? いろんな料理に電気オーブンは使えます

写真:ミーレ・ジャパン

ビルトイン洗濯機の利点

タニアさん: おむつとかそういうものは殺菌しないといけないので、魔女のように鍋の中でグツグツしないと、、というのがドイツの感覚。その点、ドイツのビルトインのドラム式洗濯機は、40度、60度、90度まで水温を上げてお洗濯できます。
洋服の汚れのほとんどは皮脂汚れ。皮脂汚れというのは体温、最低でも40度くらいにならないとしっかり落ちないっていう感覚があるので、最低でも40度で洗いたい。その要望にかなっています。
ただ、温度を上げて洗うので、色分けをするように気を付けていただきたいですね。

細長くて狭い間取りでもビルトイン家電で、シンプルながら料理の腕を存分に振るえるキッチンに

今度も都内にあるウナギの寝床みたいなすごく狭い家で、長細い家に長細いキッチン。特注したダイニングテーブル兼作業台の奥にミーレ、オーブンとスチーマーを置いた。この短い動線の中で、いろいろな料理ができるように考えられているキッチンです。
狭いからこそお金をかけて合理的にきれいに。水栓金具も家の中心に来てしまうので、すごくいいものを選んでいる。また、食器洗い機と調理機器はIH、電子レンジ付き電気オーブンとスチーマーを入れていることで、本当に狭い一画で本格的な料理をしながら後片付けまで完了できるようになっている。

ビルトイン機器の設置位置について

オーブン、スチーマーが縦型キャビネットに目の高さに組み込み設置されている、これがとてもいい。オーブンが下にあるとかがんで様子を見るひつようがあり、それが身体に負担だったりしますが、目の高さにあると様子をみるときも天板の出し入れもかがまずにできてラクですね。ビルトイン家電だと、身長とか条件に合わせて設置する高さを指定することもできます。
これは、ビルトインタイプの食器洗い機でも同じです。食器洗い機はカウンター下やシンクの横という常識にとらわれがちだと思いますが、ビルトインだと自由ですね。

本間さん: 「日本だとどうしても汚れた食器を入れる方を重視しがちだと思いますが、私は食器棚側にビルトイン食器洗い機を置いているんです。何が大変って仕舞うときが大変なんですね。だから私は、どっちかっていうと収納に近い方に食器洗い機を設置しました。」

ビルトイン家電の面白いところは、家電としての機能だけでなく、収納家具との関係を考えることができる、自分の暮らし方に合わせられるところが本当に面白いと思います。

ミーレビルトイン電気オーブンの利点とは? いろんな料理に電気オーブンは使えます

ドイツでは結構人を自宅に招くことが多いんです。あまり難しいことはしませんが、お客様が来るとキッチンでいろいろ作業をしないといけないので、その大変さを省くためにドイツではオーブンを使います。同時進行でいろんなものをオーブンで作ってしまいます。日本ではオーブンは単機能的な考え方ですね。炊飯器があったりガスコンロで調理するものがあったり、オーブンでは焦げ目をつけるという風にバラバラに考えてる。ドイツでは、お菓子もパンも、魚も肉も焼くし、なんでもオーブンの中でやってしまいます。下の段にお鍋を入れてシチューを煮込みながら、上の段ではグラタンを焼く。日本の人は真面目なのでレシピに170度のオーブンと書いてあると、170度のオーブンに絶対入れないといけないと思ってしまうのですが、もうちょっと適当で大丈夫ですね。200度と170度だとあまりに違うのでだめですけど、180度で下段で煮物を作りながら、本当は200度で焼きたいグラタンだけども同じ180度に入れて焼いてしまう。これでOKです。

シチューをオーブンで作るの?とお思いかもしれません。でも、オーブンでシチューを作るのは簡単。利点も多いんです。まずお鍋をコンロにかけて肉に焼き目をつけ、そこにコンソメやワインを入れて一回沸騰させる。蓋をしてオーブンに入れて、あとは煮込むだけ。コンロの上にあると様子を見ないといけませんが、オーブンなら、一度の温度設定すれば、180度のまま一定の温度でちょうどいい具合にコトコト煮込むことができます。オーブンを購入する際は、ちゃんと蓋までオーブンに入れられるお鍋を選ぶことも大切ですね。

ミーレビルトイン電気オーブンの利点とは? いろんな料理に電気オーブンは使えます

写真:ミーレ・ジャパン

タニアさんの鹿児島のご自宅のキッチンご紹介

タニアさん: 鹿児島に家を作るときは、東京みたいに土地の広さやその他あまり制限がないので、色々悩んだのですけど、結局シンプルに抑えてオーブン、食器洗い機、IHだけを入れました。
IHはオーブンの上に載せました。オーブンを目の高さに置けば腰の負担が減るということも考えたのですが、土地があるからこそ、あまり高いところには収納を作りたくなかったんです。あまり上の方に収納を作ってしまうと、圧迫感が出るかな、と全部下に入れ込みました。クラシックなスタイルですね。
アイランドはシンクやIHのない、家具仕立てにして、パンを捏ねたり、盛り付けをしたり、お客様が来た時には朝食のビュッフェを。ビュッフェというとちょっと大げさですが。天板にはマーブル、大理石を使っています。お菓子を作るときに冷えているほうがいいので。

本間さん: 今、家具の世界ではマーブルのダイニングテーブルがすごく流行っているんですよ。ビアンコカララとか大理石テーブルとかインテリアで流行っています。

タニアさん: 日本のマーブルは黒とかが多いですが、明るい色のマーブルだと部屋も明るくなって、光沢のある感じも気持ちがいいですね。

本間さん: オーブンなんかをアイレベルに置きたくないとおっしゃったのはこの抜けっていうんですかね?

タニアさん: そうですね、この窓を大事にしたいなとおもいました。この家の場合は。

キッチンは、機能だけで考えず、全体としてのインテリアの美しさや心地良さをイメージして考える

本間さん: 日本の皆さんはキッチンを考えるとき、目の前のこと、シンクがどうこうとか、排水溝がどうこうとか、使い勝手、収納量とか考えてしまいがちだと思います。一つ意識してほしいのは、景色ということです。今キッチンってすごくインテリアとつながる時代に、キッチンがどう見えるか?料理している自分が家族やお客様にどう見えるかという引いた距離感っていうのをぜひ皆さんにも考えていただきたいです。

タニアさん: 全体がどう見えるかっていうことですね

本間さん: タニアさんが鹿児島のお宅を作るときも直感的に最終的な絵のフレームに収まったようなきれいな空間をイメージされていたんだと思うんですよね。だから、便利だからアイレベルにするとかっていう解決法ではなかった。

タニアさん: 便利なものも大切だけれども、心地いい空間にもしたいですね。

本間さん: もちろんお気に入りの置き型家電とかはポイントポイントで置いていくのはすごくいいと思います。でもビルトイン機器を組み込んでいくことで

タニアさん: 正面体がすっきりとして、でも機能的なキッチンですよね。

本間さん: そうなんです。それは、ご紹介した素敵なおうちでもそうですし、日本の狭いマンションの中でも

タニアさん: マンションだからこそですよね。

キッチンは、機能だけで考えず、全体としてのインテリアの美しさや心地良さをイメージして考える

写真:ミーレ・ジャパン

お客様からビルトイン家電について質問

Q. 「家電は壊れる」イメージです。ビルトインしてしまうと買い替えるという発想はないんでしょうか?

A. ドイツのビルトイン家電の場合、全部統一規格のサイズになっているので引っ張り出して修理できます。修理をしてもらってまた戻す事も出来ますし、新製品に取り換えたければオーブンだけを外して、もっと言えば、オーブンをスチーマーに変えたい場合も同じ規格なので簡単に入れ替えが可能です。
ドイツだと、全メーカーが同じ規格なんです。欧米の考え方としては10年~20年は壊れないといわれています。難しい機能がないので壊れにくいんだと思います。実際、作りが頑丈で車みたいですよ。まるで輸入車のドアのような頑丈な作りになっています。

◆ ご観覧のお客様からもコメントを頂きました。
お客様 「ミーレの食器洗い機を18年くらい使っています。しかも引っ越しも2回してるんです。外して持って行って、かつ新しい家の度にドアパネルをタニアさんのお勧めにあったように、白いキッチンなら白いパネルに、今の家はウッドなので、ウッドのパネルに作り替えるということをやっています。すごいミーレのファンなんです。」

ミーレの製品は、すべて20年間の使用を想定して製造しています。その分頑丈な作りというのはおっしゃる通りで、ガラスを使ったりステンレスを使ったり他社製品であれば樹脂を使うような所にも金属を使ったりしています。その分、重いですがなるべく長くご愛用いただいて、廃棄はしない。捨てずに長く使っていただく事は、弊社が大切にしているポイントです。ぜひその点もご考慮いただけますとありがたいです。

■ 出演者プロフィール

本間美紀(ほんま みき)さん

本間 美紀 (ほんま みき)

エディター&ライター、キッチンジャーナリスト

早稲田大学卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に勤務。 特にキッチンを得意としながらインテリア、ライフスタイル、デザインなど幅広いジャンルに精通。独立後は「リアルキッチン&インテリアシリーズ」(小学館)や「最高のキッチン・ルームをつくる方法」(エクスナレッジ刊行)などのムックを手がけながら、取材、執筆、講演活動など、その活動は多岐に渡っている。

門倉多仁亜(かどくら たにあ)さん

門倉 多仁亜 (かどくら たにあ)

料理研究家

国際基督教大学を卒業後、東京はじめ、ロンドン、香港にて、外資系証券会社に勤務。結婚後、英国コルドンブルーで料理とお菓子を学び、グランディプロムを取得。現在はテレビや雑誌などで料理だけでなく、ドイツのライフスタイル全般を紹介している。鹿児島に家を建て、東京と行き来しながらセンスある豊かな暮らしを体現。長年ミーレのオーブン、食器洗い機、洗濯機、掃除機を愛用。