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10/25 (金) TIMELESS DESIGN展の開催を記念し、隈 研吾氏 および クリストフ ラドル氏をお招きし
「Timeless Design」をテーマにした対談によるトークセッションを実施いたしました。 


 

【トークセッション 内容】

ラドル: ゲストとしてご招待いただきまして大変光栄に思っています。ありがとうございます。

隈: このポスターが彼の作品なんですけどね。普段なかなかこういったことはないわけです。こんなに中庭がこんなに面白くなると想像していなかったので、びっくりしました。
ミーレの製品を見て「本当にこれは世界のナンバーワンだな」と思ってこの仕事をやったのが約2年前です。
クリストフも実は個人的な友達で、イタリアで一緒に仕事したり、食べたり飲んだりしたり、デザインについて話す仲なんです。

ラドル: この様な機会を頂きましてありがとうございます。この様な展示会を開かせて頂いたミーレさんと隈 研吾さんと一緒にできるのを嬉しく思います。

私は非常に「Timeless Design」というものに関心を持っています。
例えば建築が何かプロジェクトをやるとき、アーテイストの様にという風に言えると思います。長期的にどういう結果・影響をもたらすかという風にプロジェクトを行うのだと思います。
プロジェクトデザイナーは、ミーレの食器洗い機をデザインするデザイナーもそうだと思うんですけども、中期的な視点で考えるのだと思います。何年間、何十年間持つか、という風なことを考えて設計するのだと思います。
一方、グラフィックデザイナーの仕事を見てみると、ファッションデザイナーと同じだと思うんですが、プロジェクトの期間が非常に短いということが言えるのだと思います。場合によっては数日、数週間で終わるということもあります。期間がプロジェクトによって大分違います。プロジェクトが終わると、次の仕事に移る、次のことを考えるといった状態だと思います。そしてその作品が忘れられてしまうということもあるかもしれません。

今のお話は単純化してお話をしたんですけれども、もちろんそうでない場合も沢山あります。一時的な建築物もあるかもしれません。ですが、ミーレのデザインのような、長い間使ってもらえるようなデザインにする、という長期間持つデザインもあります。ですから、ルールというものはあると思いますですが、ルールはもちろん破られることもあるんです。例外は必ず存在します。

例えば、コンクリートの壁です。大げさに言うと、これは永遠にあるもの、永続するものであるということが言えると思います。けれども、それをカバーして隠してしまうこともできます。数週間だけ隠しておくこともできると思うんです。忘れられた作品で隠すということもできるわけです。ですから、これはある一種の遊びです。ずっと続くと思われていたものが一時的に隠されてしまうということです。

実は、これは私が適当に選んだ作品なんです。すごく時間が経っているものですと、30 年前の作品も入っていますし、最新のものですとカタールでのカタログの中の作品です。1 週間前に展示会があったばかりなので、約 2 週間前の作品もここに入っています。
グラフィックデザインの展示会をやるのは非常に難しいと感じています。以前、他のグラフィックデザイナーのためのお仕事をしたことがあったのですが、その時も難しいと感じました。今回は自分のグラフィックデザインの仕事だったので、さらに難しいと思いました。
展示をするにあたって、一つ一つの作品をそれぞれフレームに入れたくないと思ったんです。例えば、ウエブサイトのタンブラーでは色々な情報を見ることができます。様々な情報、作品やデザインを継続的に見ることができます。今回何をしたかったかというと、それを 3D で立体的に見せたいと思いました。ありがとうございます。

松原:  隈さんは「Timeless Design」についてどう考えていますか?

隈: すごく面白いテーマだと思います。 良く言われるのが「建築は長く持つからいいですね」ですが、実際はそうでもないんです。実際、日本の平均の建物は25年持つと言われています。それはこれから伸びていくかもしれません。高度成長期では20年から25年、これからは50年などに伸びていくかもしれません。ですが、意外に建築は思っているほど長くはありません。


それより、クリストフのポスターはどれを見てもかっこいいので、これが「Timeless」だと思っています。「時間のライン」っていうのはすごく面白いと思っています。建築というのは何でそんなに短いかというと、建築は社会の色々な物を反映しているからだと思います。その時代の技術力、経済、何が一番はやっているかなど、そういったことが全部絡み合ってできているから、社会が変わってしまうと、建築がいらなくなってしまうこともあるかもしれません。建築は社会と密室に絡み合っているんです。
それに比べると、クリストフの作品を見ていて、どれが何年前か、という感じがしません。最近のものから30年前のものもあるといっても、パッと見てどれが30年前のものとは正直言えません。改めてすごく興味深いと感じました。

そういう意味で、時間に「緊張感」があるとファションであろうが、グラフィックであろうが常永されると思いました。それはプロダクトも、もちろん技術発展による長持ちもありますが、デザイナーの「緊張感」というものを感じています。
今日の一番の感想は「わからない」。よくよく見ると、広告しているものを確かめてみたいと思いましたが、そういうものをきっかけにしたのはデザイナーと話してみなければわかりません。そういう意味でとても印象的でした。

ラドル: デザインというのは本当に面白いと思います。今回のトピックは「Timeless Design」ですが、逆に「Time full Design」、時期に適ったデザイン、その時々のデザインについて話してもいいかもしれません。

私がクライアントのためにお仕事をするときには、なるべき作品に自分の気持ちや「自分」を入れないようにしています。お客様、クライアントの特徴をなるべく望み通りに作ることを心がけています。ですが、先ほど隈さんがおっしゃっていたように、この作品を見ると、私も作るときになるべく自分を入れないようにはしていたのですが、やっぱり自分自身も入っていると思っているんです。ですから、時間を超えた継続性というのがあると思うんです。
分析する、同じものを継続して作って、3Dにしたという見方もできるかと思います。私は今イタリアに住んでいます。生まれはスイスでオーストリアで育ちました。スイスはきちんとした感じだと思うんですけど、ですから継続的な作品なのかもしれませんね。

隈: ヨーロッパで彼と話していて、その文化は移動で生まれていくのではないかと思いました。彼はスイスからオーストリアに移って、そこかれイタリアへ。そういった移動の中から文化が生まれるのかもしれません。
ミーレは日本に来て、日本人にすごく合っていると思っているんだけれど、移動の中から何かが生まれたり、発見できたりするのではないかとを思います。彼と違うのは、彼が持っている、イタリアだけにどっぷり埋まっているのではなく、移動しているというのがすごく面白いと思っています。自分自身も移動するのが大好きで、移動の中から文化の一番面白い所が出てくるのではないかと期待をしています。

無理やり結びつけると、僕と松原社長の学校は世界中の神父さんが教えている学校で、スイス人からアメリカ人、ドイツ人と不思議な神父さんたちがいっぱいいて、日本語があまりしゃべれない様な連中たちと子供のころから付き合っていたから、割と「移動」というものを楽しむということができました。

松原: ドイツ人の校長先生がいて、厳格なキリスト教を保ちながらも、スペイン人の英語先生が日本語で英語を教えるというような。

隈: そういった厳格な先生たちの元で、結局人間は何でもありだということを学びました。そういう教育が僕らの今のベースになっていると思います。クリストフもクリストフの中のそういったものが彼のベースになっていて、作品に反映されているのだという気がしました。

ラドル: 私もその様に思います。やはりクリエイティブな仕事、クリエイティブな作品というのは、様々な文化的背景を持つ人によって生まれていくのだと思います。例えば、私は30年前、イタリアで建築家の元で仕事をしていたのですが、様々な国の人と一緒に仕事をしていました。イタリア人、ドイツ人、日本人、オーストリア人と一緒に作業をしていました。

デザインの革命は 1981 年メンフィスで起きましたが、これを見ても、様々な文化背景の人々が一緒になって、新しい言語が生まれたんだと思うんです。それはデザインの言葉です。